令和4年産の籾摺り
稲刈りを終える10月頃になると、ここ奥出雲の季節は一気に変わり始めます。兼業農家の我が家は、お米のお客様からからご注文いただいたお米の精米・梱包作業を早朝にしているのですが、この時の外気温は10℃以下まで下がり、防寒着が無いととても外には出られません。また周囲を見渡すと、葉の色が赤や黄色に変わり始めた木々が見えたり、栗の木が実を落とし始めたり、さつま芋を収穫したという近所の声を聞いたりと、秋が急ぎ足で近づいてくるのを感じています。
2022年9月頭から開始した令和4年産の稲刈りもようやく終わり、令和4年産の栽培が終わりました。今回はコンバインで刈り取られた稲が玄米になるまでの作業をまとめます。
乾燥
奥に見える大きな機械が乾燥機です。刈り取った籾殻(もみがら)はこの機械内に張り込まれます。そして、灯油を燃料にした遠赤外線による乾燥をかけます。水分量15%という基準があり、この程度乾燥するまで乾燥機を連続運転させます。晴れた日に刈り取った籾殻の場合、夕方から乾燥をはじめて1晩乾燥させれば、だいたい15%程度まで乾燥します。雨降りの翌日など、水分量が多い状態ですと乾燥時間も長くなります。このような水分を多く含んだお米を乾燥させる場合、我が家の場合は2段階に乾燥を分けます。数時間乾燥させた後、一度送風に切り替えてクールダウンさせ、再度乾燥を開始して15%まで下げます。急激な水分量の低下はお米のヒビ(胴割れ)に繋がるため、我が家ではこのひと手間を加えています。
籾摺り(もみすり)
乾燥が完了すると中央にある籾摺り機、そしてその右手にある計量器を同時に稼働させます。籾殻のついている状態のお米から籾殻を取り払うのが籾摺り機の仕事です。籾摺り機の上から伸び、右手の方にパイプが伸びています。取り払われた籾殻は、強風によってこのパイプ内を飛ばされ、小屋の外に仮設された小さな小屋に排出されます。この籾殻はご近所の酪農家にお渡ししたり、燻炭にして肥料にしたりします。
計量
籾殻を取り払われたお米が玄米です。籾摺り機から、その右に並ぶ計量器に玄米が移動します。計量器内では風の力を使って玄米の中から未熟米(まだお米に育っていない米)が取り除かれます。そして玄米は計量されながら、セットしている米袋に排出されます。排出が30kgに達すると計量器の排出口が自動的に塞がります。30kgの米が入った米袋を人の手で移動させ、新たに空の米袋をセットし、排出口を開放すると、新たな30kgの計量が開始されます。
電源を止めない限り、乾燥機内のお米が全て排出されるまで籾摺り・計量は続きます。乾燥機1基内の玄米を全て排出するのに2時間程度です。この間の人間の仕事は、各機器に異常が無いか監視しながら、30kg計量の終わった米袋を保管場所へ移動して次の米袋を計量器にセットすることです。30kgといえば小学校3年生の平均体重だそうです。2時間の間、小学校3年生の子供を抱っこして移動させる作業を休みなく続けるイメージです。これを1サイクルとして、稲刈りがすべて完了するまで定期的(乾燥機がいっぱいになるたび)にこの作業は発生します。ここが米作りにおける最後の重労働です。米作りは農業の中でも最も機械化が進んだ作物と言われています。それでも、実際のところはまだまだ人の手が必要です。