全ての始まり

ごくごく普通のサラリーマンだった

島根県仁多郡奥出雲町出身。大学を機に大阪へ移住し、その後大学院まで進学。大学院卒業後は大阪にある医療系システムベンダに就職。それから約14年。同じ会社に勤め続ける中でそれなりの役職にも就いた。結婚をして家を購入し、子供も2人(長男、長女)できた。僕はそんな、ごくごく普通のサラリーマンでした。

新型コロナウイルスと米作り

奥出雲にある僕の実家は兼業で米を作る兼業農家です。仕事前の早朝や仕事終わり、休みの日を使って農業を営んでいます。

我が家にとって5月の連休(ゴールデンウィーク)と9月の連休(シルバーウィーク)は田植えと稲刈りの時期と被るため毎年大忙し。僕も手伝いをするためにほとんど毎年家族で帰省し手伝います。

ところが2020年は年明けから新型コロナウイルスの感染拡大が猛威を振るい、4月からは日本政府が緊急事態宣言を発表したことで世の中は自粛ムード。

旅行どころか外出するのも気を遣う状況。当然田植えの時期は手伝いに行けませんでした。

2020年夏。依然として新型コロナウイルスの感染拡大の第二波、第三波に対する警戒は残るものの、感染拡大がいったん収束。世間の雰囲気も経済再開に動き出そうという気持ちになっていました。

僕は奥出雲に家族で帰省し、稲刈りを手伝うことができました。

しかし新型コロナウイルスの第二波、第三波が警戒され、いつまた緊急事態宣言が発表されるかわからない状況の中、どこかいつもと違う不安を感じながらの帰省でした。今思い返せばこの時に感じていた不安感も、僕たちの決断を後押しした要因のように思います。

その時がきた

僕が直接聞いたわけではありませんが、この稲刈りの時、父親が「米作りも後3年かな」と話していたことを知りました。60代半ばの父親。年を取るとともに体力的に衰えていくことは抗うことできず、いつか、こういう時がくることは分かっていました。

父親が農業の終わりを口にしたと知ったとき、僕も多少は驚きましたが、慌てることはありませんでした。そうなった時にどうするかを自分の中である程度決めていました。

奥出雲に帰ろう。

家族との会話

それからほどなくして、僕は気持ちを妻に伝えました。

大阪生まれの大阪育ち。田舎へ行く機会など旅行を除いてほとんどありません。奥出雲は中国山地の奥に位置し、四方を山々に囲まれた田舎の中の田舎。初めて奥出雲に連れて行ったとき、「こんなところに人が住めるん?」と言った時のことを僕は覚えています。反対されることは分かっていました。

しかしそんな妻から、反対らしい反対の言葉は出てきませんでした。むしろ、移住するなら移住するで、いつ移住して、移住のために何を決めて、何を用意しないといけないかを考えないと。という話になりました。

今思えば、この話が出る前の僕の行動や言動から、今回のような話が出ることをある程度予想していたのではないかと思います。妻自身の気持ちとしては「大阪に住み続けるほうが良いに決まっている」と話していました。子どもたちを育てる環境、僕や僕の両親のことを考えた妻なりの結論だったんだと思います。ここには感謝しかありません。

移住タイミング

僕たち一家は島根県仁多郡奥出雲町へ2021年4月に移住することを決めました。

2020年秋口、僕の父親が農業の終わりを口にしたものの、数年間は続ける意思があるとも言っています。では、なぜ2021年4月と急いだのか。これにはいくつかの理由があります。

子どもたちの保育所

我が家には2人の子供がいます。3歳の長男と1歳の長女です。長男は小規模保育園に通い、長女は家にいて妻が面倒を見てくれています。

長男が通う保育園は2歳までしか通えないため、2020年3月に卒園となり、4月から通うための保育園を探す必要があります。

また長女について、この子は2020年4月から通わせたいと希望していた保育園に落ちました。このため妻が育休期間を1年間延長して家で育児をしていますが、2021年4月からは保育所へ通わせたい思いがあります。

妻の職場復帰

長女が保育所に落ちたため、妻も育休期間を1年間延長していますが、それが2021年4月までとなっています。

2021年4月からは元の職場へ復帰予定としていましたが、職を変えるには区切りとして良いタイミングだと考えました。

農業ノウハウ蓄積

僕は大学進学を機に地元を飛び出し、それから約20年間ほど大阪に住んでいます。田植えと稲刈りの時期こそ手伝いに帰省するもの、米作りは田植えと稲刈りだけではありません。僕には米作りに関する知識や経験が圧倒的に不足しています。

父親が健在で米作りをする元気があるうちに、これらの知識や経験を獲得する必要があります。父親が「あと3年」とつぶやいたのであれば、父親のもとで学べる機会はあと3年しか残されていないことになります。

すべての始まり

ここから、僕たちUターン夫とIターン妻子が奥出雲という田舎町を舞台に繰り広げる物語が始まります。

ハッピーエンドになるのかバッドエンドになるのか。この物語の結末はまだ決まっていません。

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